わんぱーくでは毎年、一般の方及び、わんぱーくのボランティアさんを対象に、岡山県動物愛護センター(岡山市北区御津伊田)の見学会を開催しています。皆さんに県内の動物事情を実際に見て認識していただき、色々と考えていただく機会となればと企画しているものです。今年も6月25日(日)に実施し、ボランティアさんを含む約30名が参加しました。小中学生のお子さん連れのご家族も多く、子どもにも命の尊さを教えたいという親御さんが増えているように感じました。
岡山県動物愛護センターは、動物の保護収容、管理、処分等を一元的に行なうとともに「人と動物が共存できる豊かな地域社会」の実現を目指し、各種啓発事業を行なっています。管轄は岡山市・倉敷市を除く県内全域。広大な敷地内には保護棟、管理棟、愛護館等、用途目的に応じた各種施設が整えられています。ふれあい飼育棟や、犬と戯れることができる広場、ドッグランも整備されている一方で、ここは県内唯一の処分場。岡山市保健所、倉敷市保健所で処分が確定した犬猫も送られてきます。どういう経緯で収容され、処分を目前にしているのか…無責任な人間の犠牲になっていることを痛感しながら、1匹でも多くの子たちをレスキューすることが私たちの使命だと思っています。
当日は、同センターの職員さんによる各種説明から始まり、そのあとセンター内を隈なく案内してくれました。犬猫がまず収容されるのは保護棟。保護されるのは、迷い犬、野犬、野犬の子、負傷猫、遺棄された子犬子猫等、多様です。元の飼い主を探すために、同センターのホームページで情報を公開し、飼い主が現れなければ、個々の状態を見ながら行先を判別していきます。健康で人馴れしている子たちは同センターでの一般譲渡会に参加。一般譲渡の対象外なら、登録ボランティアに譲渡しての里親募集、もしくは特別譲渡対象として同センターのホームページに掲載し適切な飼い主を探す等、極力命を繋げる方向で分けられます。
平成28年度の同センターの収容頭数(岡山市、倉敷市エリアを除く)は犬313頭、猫220頭。そのうち処分は犬16頭、猫43頭。10年前には犬猫合わせて年間3000頭以上が処分されていたことを思えば激減、行政の努力、ボランティアとの連携が大きく影響しています。よって今年度(平成29年4月~)は、二酸化炭素注入での窒息死による処分は行われておらず注射による安楽死がほとんどとのことです。
けれど飼い犬猫がいなくなっても探さない飼い主や遺棄する犯罪者が後を絶たないのも事実。保護棟の外にも漏れ聞こえる犬の鳴き叫ぶ声が私たちの心に突き刺さります。その子たちにもきっと幸せな日々があったはず。いま、必死で何かを訴えるかのような悲鳴を、再び甘えて喜ぶ鳴き声に誰が変えてやることができるのか。誰かが手を差しのべなければ…。だからこそ私たちは終わりなき活動を続けていますが、行政と結束するボランティアがもっともっと増えてほしい。元を断つことができない限り、身勝手な人間の尻拭いばかりですが、救うことができるのも人間だけです。小さいけれど生きようとしている命、その命のリレーには多くの人たちの協力が必要なのです。
遊具も備わった広いドッグランに、飼い主とともに遊びに来る犬たち。今、生死の岐路に立たされている犬たちも、優しい飼い主に出逢えて、その子たちのようにドッグランを走り回れるよう、猫も飼い主の膝の上で甘えることができるようにと願うばかり。明暗の両境地があるセンターの暗をさらに変えていくためには、より多くの方が目を背けず現実を直視すること、それが全ての原点です。
今回、見学された方はご自身の気持ちを添えて見聞きしたことを広めてくださることでしょう。犬猫に関心のない方にも、人間の犠牲になって消えていく命があることを知っていただければと思います。行政も、わたしたちボランティアも、一匹も処分したくないという想いで活動しています。愛護センターは予約すれば個人でも見学は可能です、犬猫のために何かしたいという気持ちがある方は、まずご自身の目で見て、収容されている子たちの声を聞いていただければと思います。
記:茶本 陽子
① 保護された動物が里親の元に行くかその他の行き先になるかはどのような判断基準があるのでしょうか?
回答: 当センターでは里親という言葉は使用せず、新しい飼い主という言葉を使用して説明させていただきます。
・譲渡するにあたって、健康な子犬や子猫(生後91日未満)や、人慣れしている成犬や成猫については一般譲渡対象となり、譲渡会で新しい飼い主さんのもとへ譲渡しています。
・人慣れしていない野犬、攻撃性のある犬、血液検査などを行った結果、一般の方に譲渡するのが難しい病気にかかっている犬猫などは、そういった犬猫の対処経験が豊富な登録ボランティアさんに譲渡して、新しい飼い主探しをお願いしています。
・手の施しようのない重傷を負った犬猫や衰弱が著しい犬猫、あまりに攻撃性の強い犬などは安楽死処分となります。
② 里親、殺処分以外の手段はありますか?
回答:現在までのところ、これ以外の手段はありません。
③ 里親探しの手段はどのようなものですか?
回答:・①で回答した一般譲渡に関しては、当県の委託業者である公益財団法人岡山県動物愛護財団がHPで譲渡対象動物の情報発信を行い、希望者には譲渡講習会を受講していただいた上で、第1から第4日曜日に行われる譲渡会にて一般譲渡を行っています。
・一般譲渡の対象にはならない犬猫に関しては、登録ボランティアさんに譲渡して新しい飼い主さんを探していただくか、特別譲渡対象として当センターのHPに2週間掲載して、適切に飼っていただける飼い主さんを探しています。
特別譲渡に関しては、以前「その他の譲渡」と位置づけておりましたが、今年度6月より、「特別譲渡」に変更いたしました。
④ 平成28年度の、引き取り拒否の件数と、その理由、およびその後の追跡。
回答:平成28年度引き取り拒否件数
犬 69件 猫 34件
平成28年度引き取り拒否理由とその数(複数集計しているので件数より多い)
〈犬〉
引取り拒否理由 |
引取り拒否対応理由数 |
犬の老齢又は疾病を理由として引取りを 求められた |
5
|
飼養が困難とは認められない(引越しなど) |
40 |
あらかじめ譲渡先を見つける取り組みを 行っていない |
54 |
計 99
〈猫〉
引取り拒否理由 |
引取り拒否対応理由数 |
繁殖制限措置に関する指示に従っていない |
1 |
猫の老齢又は疾病を理由として引取りを 求められた |
4 |
飼養が困難とは認められない(引越しなど) |
11 |
あらかじめ譲渡先を見つける取り組みを 行っていない |
30 |
計 46
*引き取り相談後の追跡調査は行っていません。
(参考)平成28年度の飼い主から引き取った犬猫の頭数
犬40頭(内2頭は熊本地震の際の熊本市からの犬の数) (件数18件)
猫 9頭(件数4件)
⑤ 平成28年度の譲渡数とそのうちボランティア譲渡数
回答:平成28年度譲渡数 犬240頭 猫172頭
そのうちボランティア譲渡数 犬160頭 猫131頭
⑥ 県外ボランティア譲渡件数
回答:県外のボランティアさんに直接譲渡することはありません。
⑦ 施設にきた動物たちが怪我や病気になっていた場合、治療など何かするのでしょうか?
回答:負傷動物に関しては応急的な治療は行います。飼い主さんが現れない犬猫に
関しては、健康診断や血液検査、便検査などを行い、必要と考えられる処置、投薬を行っています。
⑧ 保護される動物たちは何歳が多いですか?
回答:何歳と限定することは難しいですが、当センターの平成28年度集計を参考に回答します。
(平成28年度収容犬猫 年齢内訳)
犬:高齢犬22頭 成犬195頭 子犬97頭(生後91日未満)
猫:成猫37頭 子猫183頭(生後91日未満)
⑨ 保護された動物は施設におれる滞在期間などあるのでしょうか?
回答:収容された成犬、成猫(負傷)は当センターのHPに飼い主をさがすため2週間情報を掲載し、その期間中収容されています。その後飼い主さんが現れなかった犬猫は、検査や譲渡適性などの判断をして譲渡決定を行いますが、譲渡に時間がかかる場合は1カ月程度収容されていることがあります。子犬、子猫に関しては状態により判断しますので定められた滞在期間などはありません。
⑩ 国からのお金の補助は出ているのですか?
回答:国からの補助はありません。
⑪ 殺処分が劇的に減っているなか、処分せざるをえなかった子達は、どんな子達だったのか教えてください。
回答:平成28年度に関してお答えします。(保護収容、有料引取犬猫についての集計)
犬:全16頭
処分理由の内訳 |
処分頭数 |
高齢、病気などによる死亡 |
10 |
負傷、衰弱の苦痛除去 |
2 |
譲渡できない病気や障害 |
1 |
攻撃性が強い |
3 |
計16
猫:全43頭
処分理由の内訳 |
処分頭数 |
高齢、病気、負傷、幼齢などによる衰弱で死亡 |
13 |
負傷、衰弱の苦痛除去 |
9 |
譲渡できない病気や障害 |
7 |
適切な飼養管理困難(乳のみ仔など) |
14 |
計43
今日はありがとうございました。
実際に施設見れてとても良かったです。
犬は、首輪がついている犬がほとんどだったので、やっぱり人の勝手で犬が苦しい思いをしていて、そういうのはなくしたいと思いました。
猫は子猫ばかりだったので小さいのにとっても可哀想でした。
いろんな施設を実際に見れて人と同じ命をしっかり守って行きたいと思いました。
質問ですが、わんぱーくのボランティアとは、どのようなことをするのですか?
今日はありがとうございましたm(__)m (10代)
お疲れ様です。本日はありがとうございました。
改めて感じたことは、犬を飼うことの責任の重大さ、です。わかっていたつもりでしたが、これからお互い(自分と犬)に何があっても生涯一緒に暮らしていくという覚悟を改めて思いました。管理棟にいる犬猫の姿、処分場、想像していきましたが、やはり込み上げてくるものがありました。この現実を一人でも多くの人に伝えることが今の自分にできることかなと思いました。
あと、過去の見学記では質問が飛びかってたようですが、事前の質疑応答もあってか、少なかったですね。以前に比べると、動物保護の知識が一般の方にも増えてきたからでないかなと思いました。
貴重な体験ができました。ありがとうございました。 (30代)
今回、将来の夢の為に参加しました。
愛護センターで見学し、かなり勉強になりましたし、ものすごく、関心を持ちました。
言葉では言い表せないのですが、保護棟とふれあい広場?などを見て、雰囲気が全然違うな。と感じました。
保護棟では、私達人間に怯える犬の鳴き声が響き、ふれあい広場では、私達を見て喜ぶ犬の鳴き声や姿に、心を打たれました。
何で、こんなに違うのだろうと。
見学前に成犬や老犬が多いかな?と、思っていたのですが、比較的、子猫や子犬が多く、想像とは全然違いました。
最近はメディアなどで、どんどん保護犬や猫の事が、色々な人に広まって、譲渡会に足を運ぶ人を見て嬉しいです。
今日も、犬猫数頭の新しい飼い主様が見つかったというのも聞いて、嬉しかったです。
ブリーダーや、ペットショップなどで、犬や猫を引き取るのが当たり前になってきているのですが、誰か一人でも、保護団体様や、愛護センターなどで、引き取ると言う事も考えて欲しいです。
こんなに愛くるしくて、個性的な子達はここにしか居ないと思います。
ネットやTV等で、愛護センターの事を見ていたのですが、やっぱり自分で足を運んで、実際に自分の目で確かめて見る事が大切だとも思います。
もしかすると、自分の中で、何か変わるかもしれないからです。
今回は、貴重な体験をさせて頂き、本当に有難う御座いました。
母も、かなり勉強になりました。と言っていました。
本当に有難う御座いました。(15歳)
今日は、貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。
保護されている犬猫を目の当たりにし、動物の命の重さを感じました。
子供たちは、しんみりした気持ちで、帰りは言葉少なでした。
うさぎや、鳥は、飼育経験がありますが、犬猫を飼いたいと、子供が日々口にしていたので、飼う前に、こんな施設があるんだ、と、知っておいて欲しかったので、いい勉強になったと思います。 (30代)
愛護センター見学に参加させていただき、未だに実際に目で見て、感じた空気感は忘れることが出来ません。
残酷な現実に目を背けずに、これからも、出来るだけ微力だけど、いろんな方に伝えていきたいと思います。
私は、何も知らないことよりも、知っていて知らないふりをすることが、一番怖いと感じます。
動物たちの命の守る活動に、頭の下がる想いです。
私は、動物が大好きだけど、育てることが出来ませんし、ボランティアにも参加出来ていないので、申し訳ない気持ちですが、伝えていくことは続けます。
本当に良い経験をさせていただきお世話になりました。 (30代)